ザルツブルクに行きたいんだ。なんかモーツアルトのイメージが強い街なんだけど、ほかにはどんな見どころがあるの?
塩で得た財でカトリックの総本山ローマを超える野望で築かれたバロック建築の街って歴史を聞くと凄くないですか。モーツアルトや映画サウンドオブミュージックだけじゃないんです。
ザルツブルクについて
- ザルツブルクは、オーストリア中北部の都市で、同名のザルツブルク州の州都である。人口は約15万人、ウィーンの西方約300km、標高は424m。気候はウィーンより少し涼しい。旧市街と歴史的建造物は、1996年ユネスコの世界遺産に「ザルツブルク市街の歴史地区」として登録された。
- ザルツとは「塩」、ブルクは「砦」、ザルツブルクは「塩の城塞」を意味する。古くより周囲の岩塩鉱から採れる塩を交易しており、ザルツブルクの大司教が代々その取引や管理の役目を担っていました。
他にもザルツブルクはモーツァルト生誕の地であるだけではなく、毎夏開催される「ザルツブルク夏の音楽祭」や、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台でもあります。
ザルツブルクの芸術文化の歴史
- 16世紀、それまでの直線と円やアーチ、シンメトリー(対称)を組み合わせた均衡の取れたルネサンス様式に代わり、曲線や曲面・楕円を中心としたダイナミックな展開を持つバロック様式が建築芸術の頂点を極めた。そのバロック建築が立ち並ぶ街がザルツブルクだ。
- 17~18世紀、塩で財を得て権力を高めていったザルツブルクを治める大司教たちの野望は、教皇庁が置かれたカトリックの総本山ローマを超える街を作ることだった。大司教ヴォルフ・ディートリヒはザルツブルク大聖堂の改修やミラベル宮殿、レジデンツの建設により街のバロック化を推し進めた。
- さらにマルクス・シティクスやヨハン・エルンストといった大司教たちが事業を引き継ぎ、イタリアの建築家サンティノ・ソラーリやオーストリア名建築家フィッシャー・フォン・エルラッハらを招聘して多くの名建築が生み出してった。
- こうして17~18世紀に「北のローマ」の異名を持つバロックの都が完成した。
ザルツブルクの大司教の野望はカトリックの総本山ローマをも超える街を造る事って凄い話ですよね。何が凄いって塩の財はそんな野望を抱くほどの莫大な財だったんですね。
ザルツブルクを治めた大司教とは
- 「司教」はカトリックのいくつかの教区をまとめる聖職者。司教の座る椅子=司教座(カテドラ)がある教会が大聖堂(カテドラルやドゥオーモ)。大司教は司教のさらに上で、複数の司教区をまとめる者。
- 13~19世紀初頭にかけてザルツブルク大司教は「大司教領」という領土を治め、「半教皇」と呼ばれてローマ教皇(法王)に次ぐ地位にあった。更に神聖ローマ帝国から侯爵の位を受けていたため侯爵司教と呼ばれ、ザルツブルクでは皇帝に次ぐ国王のような権力を持っていた。
ザルツブルク大司教は教皇遣外使節として外から識別される身分、つまりローマ教皇庁の緋の衣を1854年以来身にまとう身分にある。この衣は枢機卿以外は着用できない。
ザルツブルクの行き方
- 日本からの直行便はないため主要都市から電車での移動が便利です
- ミュンヘン中央駅 ー ザルツブルク中央駅 ドイツ鉄道(DB) 約2時間 25ユーロ~
- ウィーン中央駅 ー ザルツブルク中央駅 オーストリア国鉄(ÖBB) 約2時間半 20ユーロ~
- 移動費用の確認や掛かる時間など詳細はこちらからご確認ください。
同じオーストリアのウイーンよりも、ドイツのミュンヘンからの方がちょっと近いんだなあ。
ザルツブルクカードとは
- 以前、チェコのプラハでもプラハカードを紹介しましたが、いわゆる都市カードです。これ1枚で、ほとんどの観光施設、バスやリフトなど公共交通機関などで使用可能です。
- こういったカードの有効性をみるとき、入館料などと比較しがちですが、最大のメリットはチケット売り場の列に並ばない、バス等チケット売り場を探さないなどの時間の節約と私は考えています。
- ザルツブルグカードは価格的にも凄いお得です。
旅行は如何に時間を効率的に使うかって側面もあります。そういう意味でもこのような都市カードを有効に使って、チケットを買う時間、チケット売り場を探す時間を節約すべきです。
ザルツブルグカードの買い方&料金
- 公式サイト(英語)からWebで購入する
- 現地の観光案内所などで購入する。(私はモーツァルト広場の観光案内所で購入。)
冬季料金(11月~4月) | 夏季料金(5月~10月) | |
24時間カード | 大人27ユーロ、子供13.50ユーロ | 大人30ユーロ、子供15ユーロ |
48時間カード | 大人35ユーロ、子供17.50ユーロ | 大人39ユーロ、子供19.50ユーロ |
72時間カード | 大人40ユーロ、子供20ユーロ | 大人45ユーロ、子供22.50ユーロ |
価格を見るとどうしても入場料や乗車料との比較になりますが、あくまで時間を買うという側面もあることを忘れずに!
ザルツブルクの見どころ10選+1つ
ホーエンザルツブルク城
- 11世紀に建設を始め、幾度もの増築を繰り返し、17世紀頃に今の姿になったザルツブルク城。メンヒスベルクの丘の上にあり、市街からケーブルカーで行いきます。
- 城内は博物館になっておりオーディオガイドの説明を聞きながら回ります。日本語も有りますよ。ザルツブルク城の変遷や当時の生活などとても興味深い40分です。
- 開館時間:10~4月9:30~17:00、5~9月8:30~20:00
- 料金:大人12.9ユーロ、6~14歳の子供は7.4ユーロで、料金に往復ケーブルカー、オーディオガイド、城塞博物館などの入場含。
- 住所:Monchsberg 34, 5020 Salzburg Austria
ザルツブルク観光のメインイベント。街で最も目立つ建物。ザルツブルクの歴史をオーディオガイドで見学できるだけでなく、高台にあるので街を一望できます。
ザルツブルク大聖堂
- 774年に創建され、改築を繰り返して現在の姿になった歴史ある建物。美しい装飾や絵画、荘厳なパイプオルガンなど見どころ沢山です。
- この大聖堂には宝物を保存している「ドーム博物館」、大司教たちの宮殿だった「レジデンツ」、大司教たちが収集した絵画などを展示している「レジデンツギャラリー」が内部で繋がっており、13ユーロで日本語を含むオーディオガイドを聞きながら回ることができます。
- 住所:Kapitelplatz 7, 5020 Salzburg, Austria
現在のザルツブルク大聖堂は1628年にバロック様式によって建て直されました。イタリア出身のサンティーノ・ソラーリオ(1576年-1646年)によって設計され、ドームの乗る大理石の双塔を持ち、ペディメントをはさんで構成されたファサードを特徴としています。
ミラベル宮殿
- 1606年に建設されたミラベル宮殿。ミラベル庭園と呼ばれる美しく大きなローズガーデンが人気です。毎日6:00~日没まで、無料で見学することが出来ます。
- また映画『サウンド・オブ・ミュージック』の撮影地としても有名で、映画の中でマリアと子供たちがドレミの歌を歌うシーンに使われました。
- アクセス:バス25番でSalzburg Mirabellplatz下車
- 住所:Mirabellplatz 4, Salzburg Austria
元々は17世紀初めに大司教ヴォルフ・デートリッヒ・フォン・ライテナウが愛人サロメ・アルトのために建てた宮殿で、愛人アルトの名に因んで「アルテナウ宮殿」と名付けられていました。
聖ペーター修道院
- ホーエンザルツブルク城のふもとにある聖ペーター教会は1147年に建設され幾度の改築を経て今の姿になりました。教会内の絢爛豪華な内装や絵画など一見の価値あり多数あります。
- 入場は教会、墓地は無料、カタコンベは大人2ユーロ、子供・学生・シニアは1.5ユーロ。
- アクセス:バス25・27・28などでSalzburg Mozartsteg またはRathausから徒歩約7分です。
- 住所:Sankt-Peter-Bezirk 1, Salzburg 5020, Austria
教会内の墓地はメンヒスベルクの岩山をくりぬいて作られたカタコンベ(納骨堂)や岩窟礼拝堂などもあり、交響曲の父とよばれたフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの弟もここに眠っています。
モーツァルトの生家
- ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトは1756年1月27日、ザルツブルクのゲトレイデガッセ9番の家で生まれました。モーツァルト家は1747年から1773年までの26年間、ここに住んでいました。
- 内部ではモーツァルトの時代の家具などと共に、実際に書かれた手紙や数々のポートレート、彼のバイオリンなど貴重なものが展示います。
- 開館時間:9:00~17:30(7・8月は8:30~19:00)
- 入場料:大人12ユーロ、6~14歳3.5ユーロ、15~18歳4ユーロ
- アクセス:バス停 Salzburg Rathaus徒歩約3分
- 住所:Getreidegasse 9, A-5020 Salzburg Austria
モーツアルトの生家は鮮やかな黄色の外壁をしているので、行けばすぐに分かります。旧市街のメインストリートにあるモーツァルトが幼少期を過ごした邸宅です。
ゲトライデ通り
- 旧市街、旧市庁舎前からメンヒスベルクの丘の手前まで続くザルツブルクのメインストリート「ゲトライデ通り」、歩行者天国で買い物天国です。笑
- それぞれのお店の前に飾られた鉄細工の看板がこの通りの特徴です。雑貨屋、革細工屋、チョコレート屋など色々あって見ているだけでも楽しいです。
- アクセス:25・27・28のバス停留所「Rathaus」徒歩1分。
- 住所:Getreidegasse, Salzburg 5020, Austria
東西に320mほどの通りにいろんなお店がぎっしり並び本当に時間泥棒(いい意味で)の通りです。ウインドーショッピングも楽しいし、看板を見上げているだけでも楽しい通りです。
モーツァルト広場
- ザルツブルク観光のへそともいうべき旧市街の中心に位置する「モーツァルト広場」。広場の中心にはモーツァルトのブロンズ像あり、広場に面して観光案内所も有ります。
- 街の公認ガイドが開催する、シティーツアーの出発場所でもあります。ツアーは1人10ユーロ、ドイツ語か英語で、毎日12:15から約1時間で巡ります。
- アクセス:バス25・27・28などでSalzburg Mozartsteg 下車、徒歩2分。
- 住所:Motzartplatz, Salzburg 5020, Austria
モーツアルトはこの街にとって大英雄だったとわかる場所。街のど真ん中に大きな広場を造り、その真ん中にモーツアルトの像が鎮座しています。
ザルツブルク祝祭大劇場
- 2020年に100周年を迎えたザルツブルク音楽祭。その音楽祭のメイン会場になっているのがこのザルツブルク祝祭大劇場です。
- ザルツブルク音楽祭のチケットはWebで予約できますが、高い競争率の様です。
- https://www.salzburgerfestspiele.at/en/l/grosses-festspielhaus
- 料金:大人7ユーロ、6~18歳4ユーロ。9~6月の14:00、7・8月は9:30、14:00、15:30
- アクセス:バス停 Salzburg Rathausから徒歩約6分
- 住所:Hofstallgasse 1, Salzburg Austria
会場内はガイドツアーで見学します。祝祭大劇場のほか、フェルゼンライトシューレ、そしてモーツァルトのための劇場の3会場を巡ります。
メンヒスベルクの丘展望台
- 旧市街側を南側から西北までぐるりと囲む山々がメンヒスベルク。高台に展望台がありザルツブルクの街を一望できます。
- 展望台にはエレベーターを利用して登ります。22・23・27番のバス停Herbert-von-Karajan-Pl. から徒歩2~3分の場所にエレベーター乗り場があります。
- 料金:大人片道2.6ユーロ、往復3.9ユーロ
- 住所:Gstättengasse 13, Salzburg, Austria
ホーエンザルツブルク城も高台にあり絶景ですが、こちらはホーエンザルツブルク城を含めた街の絶景が楽しめますよ。
ヘルブルン宮殿
- 1615年、当時の大司教マルクス・ジティクスが建てた夏の離宮。少し郊外ですが行く価値ありです。見どころは、沢山の仕掛けのある水の庭園「トリックファウンテン」。ガイドツアーで回ります。
- チケット:大人13.5ユーロ、4~18歳6ユーロ
- 開館時間:3・4・10・11月は9:00~16:30、5・6・9月は~17:30、7・8月は~18:00
- アクセス:バス停RathausやSalzburg Mozartsteg 乗車、バス25番でSalzburg Schloss Hellbrunn下車
- 住所:Fuerstenweg 37, Salzburg 5020, Austria
「トリックファウンテン」は大司教のアンドレアス・ヤーコプ・フォン・ディートリヒシュタインによって古い噴水に、動く像など精巧な「機械劇場」が付け加えられた噴水です。
見どころ 番外編
マカルト小橋
- ザルツブルクの旧市街と新市街の間を流れるザルツァッハ川に掛かる橋の1つ「マカルト小橋」。近年、カップルが永久の愛を込めて二人の名前を書いた鍵を付ける場所として新たな名所になりました。
- アクセス:バス21・22・25などでSalzburg Makartplatz より徒歩2分
- 住所:Makartsteg, 5020 Salzburg Austria
ヨーロッパの人ってこういうの好きだよな。確かドイツのケルンとかにもあったよな。
ザルツブルク まとめ
- 私もザルツブルクに行く前には、「モーツアルトの生まれた街で音楽の都なんだろうな」とか、「映画サウンドオブミュージックの舞台なんだよな」などと美しいイメージが強かった。
- 繁栄を伝えるバロック様式の建築群は本当に見ごたえがあった。繊細な彫刻が外壁にも内装にもこれでもかと施され、美しくも荘厳で本当に見ごたえがある。
- 前回は電車で行ったが次回は車で行って周辺の村などにも行ってみたいなあ。
街は美しいイメージそのものでしたが、昔、塩貿易で得た富をもとにカトリックの総本山であるローマをも超える街にするという野望の街だったというのは面白いと思いました。
コメント