ヨーロッパは教会とか美術館に宗教画が沢山あるけど、何を描いた絵か意味が解らなかった、キリスト教を勉強しとけば良かったって思った方、多くないですか。
私も初めて行ったときは同じ思いで、帰国後に少し勉強しました。これが全部ではないですが特に絵画のテーマに良くなるキリスト最後の7日間について書いてみますね。
2度目のヨーロッパ旅行では失敗しない様に流れだけでも頭に入れときましょう。
哲太郎的 宗教絵画鑑賞
- 宗教絵画は基本的に聖書の物語の1シーンが描かれています。概要だけでも聖書を勉強しておくと宗教絵画が楽しくなりますよ。
- 昔の画家は教会や有力者からテーマを決められて依頼された。最後の晩餐やキリストの降架などキリストの名シーンを依頼されそうだが宗教絵画の面白いところはペテロの否認のように、キリスト教にとってはマイナスの印象を与えかねないシーンも絵のテーマにすること。
キリスト最後の7日間から昇天まで
絵 画 | タイトル | 内 容 |
1日目 エルサレム入城 | イエスと弟子12名がエルサレムに入城。 既にユダヤ地方にイエスの評判は届いており、民衆は熱狂的に歓迎した。 | |
2日目 宮清め | 神殿に出向いたイエスはその境内で商人や両替商が跳梁しているのに驚き、彼らを追い出し始める。神聖な「祈りの家」でそのような行為は許されないと。 | |
3日目 サドカイ派との論争 | 昨日の宮清めの行為をサドカイ派の祭司長らが咎めた。しかしイエスは逆に彼らの矛盾を突き退けた。 | |
4日目 香油の日 | イエスが滞在していたシモン家で、食事中、べタニアのマリアがイエスの頭に高価な香油を注ぐ。ユダらはその香油代で貧しい者に施しが出来たと非難するが、イエスはこの人は埋葬の準備をしてくれたのだと擁護する。 | |
ユダの裏切り | ユダはその日のうちに祭司長らのところにイエスを売り渡しに行く。イエスの逮捕に協力する見返りにユダは銀貨30枚を受け取る。 | |
5日目 弟子の足を洗うキリスト | 食事の前にイエスはたらいに水をくみ弟子たちの足を洗始める。弟子たちは恐れ多いと拒否するも、洗わねば仲間ではないと言われ従う。イエスが最後に弟子たちに示した愛。この時、イエスは皆が清いわけではないと裏切り者の存在を示唆する。 | |
最後の晩餐 | ご存知、最後の晩餐。 晩餐の途中イエスが突然「あなた方のうちの一人が私を裏切る」と告げる。皆驚き、ユダは出てゆく。 イエスは更に弟子たちがイエスから逃げ出す。「鶏が鳴く前に3度私のことを知らない」というと予言する。 | |
ゲツセマネの祈り | 最後の晩餐後、いつもの様にゲツセマネの園で祈りをささげるイエス。イエスの「時が来た。人の子は罪人たちの手に渡される。見よ裏切り者が来た」というイエスの言葉に居眠りしていた弟子たちが目を覚ます。 | |
ユダの接吻 | ユダは大勢の中で誰がイエスか判る様に接吻する手はずになっていた。その接吻を合図に兵士たちがイエスを囲む。イエスが捕縛されると弟子たちは我先に逃げ出した。 | |
ペテロの否認 | 一度は逃げ出したペトロだったが、イエスを追って大祭司の家へ、そこでイエスの仲間かと問われ、「そんな人は知らない」と3度否定する。その時鶏が鳴き、イエスの言葉を思い出し後悔の念に捕らわれる。 | |
大祭司による尋問 | 祭司長らによる裁判が始まる。民衆の熱狂的な支持を集めるイエスに脅威を感じていた祭司長らは初めから死刑にしようと決めてた。しかし祭司長に死刑を決める権限はなく、ローマ総督ラピトに引き渡す。 | |
6日目 ピラト前のキリスト | 「お前はユダヤの王なのか」と尋ねるラピトに「それはあなた方が言っていることだ」イエスは答える。ラピトは死刑には値しないと考え、祭りの日の一人赦免できるのをイエスにしてはと提案するも皆が否定する。 | |
この人を見よピラト | イエスの死刑に納得できないラピトは「この人を見よ、何の罪も見出せない」と群衆に呼び掛けるも、結局「殺せ、十字架にかけろ」と叫ぶ群衆に引き渡す。 | |
十字架の道行き | 自ら十字架を背負いゴルゴダの丘まで登らねばならないイエス。散々鞭打ちの刑に処されたイエスにはもう体力は残っていない。十字架は重く何度もつまずく。 | |
キリスト昇架 | 処刑人はイエスの衣服をはぎ取り、十字架に釘で手足を打ち付けられる。 左絵はネロがパトラッシュと最後に見たアントワープ大聖堂のルーベンスの絵。 | |
十字架上のキリスト | 「我が神、何故に私をお見捨てになったのですか」と叫びイエスは息を引取る。弟子は逃げ出してその場には居なかったがマグダラのマリアは最後の様子を見守っていた。 イエスは右胸下を刺された。これは全ての絵画に共通している。 | |
キリスト降架 | アリマタヤのヨセフというイエスの弟子が、ピラトにイエスの遺体を引き取りたいと申出て、ピラトがこれを許したためヨセフは十字架よりイエスを下ろし、亜麻布で包んだ。 この亜麻布が聖骸布。 | |
キリストの埋葬 | マグダラのマリアらが見守る中、イエスは岩に掘った墓に埋められる。 | |
7日目 黄泉下り | 埋葬されたイエスは、復活するまでの間黄泉の世界へ向かい、古き時代の人々に福音を述べた。 この逸話はイエスの前に死んだ者は救われないのかという疑問が原因らしい。 | |
アナスタシス | イエスが黄泉の世界で福音を伝える逸話はカトリックやプロテスタントでは余り重視されないがロシア正教では多くの絵画に描かれる。 | |
8日目 キリストの復活 | 「自分は3日後に蘇る」というイエスの言葉にラピトは墓に見張りをつけるも、見張りの兵士たちが寝ている間にイエスは復活して墓を出る。 | |
我に触れるな | 墓参したマグダラのマリアらに天使がイエスは蘇ったのでここにはいないと告げる。泣くマリアにイエスが現れ、「我に触るな」と告げる。 | |
傷口を触らせるキリスト | イエスが復活したことを信じない弟子たちに、イエスが現れ亡霊ではなく肉体があることを磔刑による傷口を触らせて復活したことを理解させる。 | |
キリストの昇天 | イエスは復活の日から40日間地上に留まり、弟子たちに神の国について教えを授ける。40日目弟子たちをべタニアに連れてゆき祝福を与えそのまま昇天した。 |
まとめ
- 一枚一枚のシーンを覚える必要なんてありませんが、キリストがエルサレムに入城してから、昇天するまでの流れを覚えてくだけでも、次回、宗教画を見るのが楽しくなると思いますよ。
- まだマリアの生涯とか、三位一体の構図とか有りますが追々書いてみます。
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